レビュー
キャラクターの生む世界観
マイクロキャビンのアニマルAVGシリーズ第一弾。
テキストAVGが市場から姿を消し、時代はすでにハイレゾAVGに移行していたが、このゲームの愛らしい動物たちの画像は当時のPCゲーム界に大きな衝撃を与えた。そこには絵本から飛び出してきたかのような世界があったのだ。
もともとマイクロキャビンは『ミステリーハウス』から連綿としてグラフィックス表現に力を入れていた。グラフィックスを、ただの装飾物ではなく、ゲームをより面白くする手法として捉えていた。画面とゲームが完全にリンクしており、画面を軽視していては謎が解けない。今では当たり前のこの事実も、当時成立させていたAVGは多くなかった。逆説的には「名作」の多くはそこまで気が配られていた。
そして、そこにはほのぼのとした動物たちがいた。グラフィック担当者の手によって、まるで絵本をそのまま閉じ込めたような世界観を作り上げたのだ。このセンスはお見事。
対してゲーム性はというと、これがほんわかとしたグラフィックスに反発するかのようであった。
主役の母ギツネは様々なことですぐに死んでしまう。これは野生の動物が生きていくのにいかに危険が多いかを表現したかったスタッフの意図とも言われているが、定かではない。もっとも当時のAVGはこれぐらいの頻度で死ぬのが当たり前で、ゲームの規模がさほど大きくないので、最初からやり直すことにそれほどの苦痛はない。
謎解きは生半可ではない。画面をよく見て、アイテムと相談し、行動力と直感で切り抜けるのだが、一部に「言葉探し」の悪習を持ち込んでしまっている。加えて、どうにも受け付ける単語が少ない。同時代のコマンド入力式AVGと比較しても少なく感じる。つまりコマンド入力によって得られるヒントには限りがあり、いざ入力したコマンドはなかなか受け付けてもらえない。これは結構なストレスなのである。
さて、厳しい事も述べたが、動物たちの愛らしいグラフィックスが見事に七難を隠してしまっている。雰囲気作りはゲームの重要な要素だという事を、改めて考えさせられる。このゲームが以後のAVGに与えた影響は大きい。また、移動可能な方向が画面上に表示されているという親切設計も評価できる。
プレイしてみれば、当時のAVG代表作の一本に数えられるわけがわかるだろう。
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