PRE STORY ※マニュアルより引用


 夢幻の心臓を手に入れ、死の世界 −夢幻界− から戦士はよみがえった。
 いま、戦士の目の前に広がる自然の風景は、まがまがしい夢幻界のものとはたしかに異なり、生命あるものの美しさがあった。
 しかし、それらのひとつひとつをよく見ると、細かい構造が自分の世界のものと少しずつ異なっているのに戦士は気づいた。

「おかしい… この風景は私の生まれ育った土地のものとちがう」

 戦士は軽い疑惑を覚えた。
 しかし、夢幻界とはまったく違う澄んだ空気を吸い、どこまでも続く青い空を見るうちに、気分は自然に高揚してきた。

「ああ、この風景に比べ夢幻界はなんと毒々しかったことか、空気は悪魔のように毒気を含んでいたことか…」

 戦士は、再び生命を与えられた喜びをからだ中で味わっていた。
 とその時、戦士のまわりをサッと影が横切り、はるか頭上で恐ろしい鳴き声が響いた。
 戦士は、長い夢幻界での生活で身につけた条件反射とも言える反応力で、一瞬のうちに剣を抜き、身構えながらキッと上空をにらんだ。
 その空には、信じられないことに全長が50メートルはあろうかという巨大なドラゴンが口から炎を吐きながら飛んでいた。

「なんだと! ここはまだ夢幻界なのか!?私の生まれた世界にはドラゴンなどという化け物はいなかったはずだ!!」

 驚きにあぜんとしている戦士の上空を、ドラゴンはその巨大なからだを支えるにはあまりにも小さい翼をゆっくりと動かしながら飛んでいく。
 戦士は、とりあえずドラゴンが自分に関心を持っていないようなのに安心し、それでも剣を構えたまま、昔ドロイド教徒の神官に聞いた話を思い出していた。

「ドラゴンが生きていくには魔法の力が必要なのじゃ。あのように巨大で、しかも炎を吐き、空を飛ぶ生き物が、自然の法則に従って生まれるはずがないのじゃ。
奴等が生まれるには、大魔道士の邪悪なる呪文か、偉大なる創造神の残された神聖剣の大いなる力が必要なのじゃて」

 …そうだ、聞いたことがあるぞ!
 私の世界とよく似た環境を持ちながら、いまだ魔法の力が衰えていないエルダー・アインという世界のことを…それがここなのか?
 戦士が頭の中であれこれと考えをまとめているうちに、ドラゴンは、はるか彼方へと消えていった。

「まあいい、この世界がエルダー・アインであろうとそうでなかろうと、夢幻界でないことは確かなのだから。私は死の世界からよみがえったのだ」

 そうつぶやくと戦士は剣を鞘におさめ、町を求めて歩き始めた。

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